大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成5年(わ)1406号 判決 1993年12月03日

本店所在地

大阪市北区曾根崎二丁目三番九号

株式会社

梅田画廊

右代表者代表取締役

野呂好德

本籍

大阪府豊中市東豊中町一丁目六〇番

住居

同町一丁目一四番二号

会社役員

野呂好德

昭和八年一〇月一四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中井隆司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社梅田画廊を罰金五三〇〇万円に、被告人野呂好德を懲役二年にそれぞれ処する。

被告人野呂好德に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社梅田画廊(以下「被告会社」という。)は、大阪市北区曾根崎二丁目三番九号に本店を置き、絵画及び美術品の販売業務を営むもの、被告人野呂好德(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として、業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  昭和六三年二月一日から平成元年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額が六億二五七七万五三五八円で、これに対する法人税額が二億五五四三万九二〇〇円であるのに売上の一部を除外するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成元年三月三一日、大阪市北区南扇町七番一三号所在の所轄北税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三億八三七八万八六三八円でこれに対する法人税額が一億五三八〇万七九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一億一六三万一三〇〇円を免れ「別紙1の1の(その1、2)の修正損益計算書及び別紙2の税額計算書参照」

第二  平成元年二月一日から平成二年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額が九億七四五九万七二九〇円で、これに対する法人税額が三億九八五九万七〇〇〇円であるのに、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成二年三月三一日、前記北税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が九億三〇六七万五三二五円でこれに対する法人税額が三億八〇一五万円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一八四四万七〇〇〇円を免れ「別紙1の2の(その1、2)の修正損益計算書及び別紙2の税額計算書参照」

第三  平成二年二月一日から平成三年一月三一日までの事業年度における実際の所得金額が四億八二九一万五〇二九円で、これに対する法人税額が一億八二九〇万七五〇〇円であるのに、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、平成三年三月三〇日、前記北税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一億七九五四万二五五二円でこれに対する法人税額が六一五七万二三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一億二一三三万五二〇〇円を免れ「別紙1の3の(その1ないし3)の修正損益計算書及び別紙2の税額計算書参照」

たものである。

(証拠の標目)<注>括弧内の算用数字は記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)記載の当該番号の証拠を示す。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書三通

一  山岡善昭、高田正、江辺野章三、江口治郎、山田啓吾、梅田敏彦の検察官に対する各供述調書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  収税官吏作成の査察官調査書八通(8ないし10、12、16ないし19)

一  法人の登記簿謄本二通

一  閉鎖役員欄用紙謄本三通

判示第一及び第二の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(11)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(1)

一  大蔵事務官作成の証明書(4)

一  収税官吏作成の査察官調査書(15、20)

判示第二及び第三の事実について

一  収税官吏作成の査察官調査書(13)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(2)

一  大蔵事務官作成の証明書(5)

一  収税官吏作成の査察官調査書(14)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(3)

一  大蔵事務官作成の証明書(6)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、判示各所為につき、法人税法一六四条一項により同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用して、罰金額をその免れた法人税の額以下とし、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により各罪の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金五三〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松下潔)

別紙1の1

修正損益計算書

株式会社梅田画廊(その1)

自 昭和63年2月1日

至 平成元年1月31日

<省略>

修正損益計算書

(その2)

自 昭和63年2月1日

至 平成元年1月31日

<省略>

別紙1の2

修正損益計算書

株式会社梅田画廊(その1)

自 平成元年2月1日

至 平成2年1月31日

<省略>

修正損益計算書

(その2)

自 平成元年2月1日

至 平成2年1月31日

<省略>

別紙1の3

修正損益計算書

株式会社梅田画廊(その1)

自 平成2年2月1日

至 平成3年1月31日

<省略>

修正損益計算書

(その2)

自 平成2年2月1日

至 平成3年1月31日

<省略>

修正損益計算書

(その3)

自 平成2年2月1日

至 平成3年1月31日

<省略>

別紙2

税額計算書

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例